『メキシカン・スーツケース』を観ました

ms_main(c)212 Berlin Mallerich Films©212 Berlin Mallerich Films

映画『メキシカンスーツケース』の試写会へ行ってきました。
2007年にメキシコで発見された、ロバート・キャパゲルダ・タローデヴィッド・シーモアの3人のカメラマンの幻の写真ネガ、通称「メキシカン・スーツケース」とよばれる一連の写真とともにたどる、スペイン内戦のドキュメンタリー映画です。

3人の写真家たちの、スクリーン大に引き伸されたモノクロ写真は圧倒的でした。マイケル・ナイマンの音楽とともにハートをもっていかれ、あっという間に、落涙。テレビの時代になり、報道写真は終わったとも聞きますが、写真に宿るエネルギーというものに改めて驚かされました。

70年を経て日の目を見た、キャパの幻のネガ

スペイン内戦によって戦場カメラマンとしての名声を得たロバート・キャパ。半世紀以上もの間、探されていた彼のネガがこの映画の基点となっています。
見つかったのは、126本のロールフィルム、計4500枚のネガ。幻のネガが伝える真実は予想された以上のものだったようです。ここには彼の恋人であったゲルダ・タロー、そしてデヴィッド・シーモアの2人が撮影したネガも含まれ、スペイン市民戦争の視覚的資料であると同時に、被写体のこちら側にいた3人のカメラマンの情熱や、内戦に関わる足跡も浮かび上がる、20世紀の写真史を飾るまたとない発見でした。

予備知識として、ロバート・キャパたちがスペイン内戦へ赴いた状況を少々。スペイン内戦写真を撮ったときのロバート・キャパはわずか22歳、ゲルダ・タローは25歳、デヴィッド・シーモアは24歳くらいだったそうです。それぞれハンガリー、ドイツ、ポーランド出身のユダヤ人で、キャパはハンガリーからドイツへ渡り、そこで写真を学んだ後、さらにナチス支配下となったドイツから逃れてパリに移り住みます。
1936年、スペイン総選挙で誕生した共和制民主主義派と、その打倒をもくろむフランコ軍との内戦が勃発したことを知った3人はスペインへ渡り、報道カメラマンとして共和国軍に従軍。危険を冒して戦争スクープを狙うのです。当時、砲弾が飛び交う中に身を置く戦争写真は初の試みでした。スペイン内戦の写真は世界を駆け巡り、キャパとゲルダ・タローのふたりがつくりあげた、架空のアメリカ人カメラマン「ロバート・キャパ」は報道の世界に躍り出たのです。

つづく

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