巡礼の道のロマネスク美術

スペイン巡礼の道のかたわらには、「ロマネスクrománico」と呼ばれる様式の建築が点在します。その多くが古めかしい石づくりのロマネスク様式の教会です。窓は小さく、壁は厚く、里山の風景に似つかわしいボクトツとした佇まい。そして柱頭を飾る彫刻は、人も動物も力強い存在感。それでいてどこかユーモアがあって。

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ロマネスク様式について、見事な解説を見つけたので引用させてもらいます。

ロマネスクとは19世紀に生まれた美術史用語である。当初は漠然と中世の建築・美術全般をさし、西欧にのこるローマ帝国属州時代の神殿や大浴場の遺跡を稚拙に模写したもの、という軽蔑のニュアンスが込められていた。しかし、現在では10~12世紀頃の西欧各地に同時多発的に生まれた、特定の様式をさすようになり、西欧美術におけるもっとも創造力ゆたかな領域のひとつと考えられている。
ロマネスク美術の特徴は、建築の部分部分の枠のなかで、人物も動物ものびたり縮んだり、丸まったり、角張ったり、空間の構造にしたがいながらしながらもモティーフの存在感を充分に発揮させてゆくところにある。<出典/芸術新潮1996.10号「巡礼の道、ロマネスクの道」五十嵐見鳥>

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一千年も前に西洋が獲得していたローマ・ギリシャ彫刻の技法とはまるで異なる、絵本から出てきたような天真爛漫で無骨なスタイル。ロマネスク美術の魅力は、見えるようで見えない本質と、だからこそ見飽きることのない不思議な造形美、おおらかさを感じる量感にあるように思います。

スペイン巡礼の道・ナバーラのロマネスク美術を集めたyoutube

★引用した<芸術新潮1996.10号>の五十嵐見鳥氏も
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