スペイン民主化の鍵アドルフォ・スアレス

民主主義スペインの安定に務めた歴史的立役者、アドルフォ・スアレスAdolfo Suárez元首相が23日、81歳でその生涯を閉じました。

casasblancas

晩年はアルツハイマー病を煩い、スペイン国王の見舞いには相手が分らず、「わたしはキミの古い友人だよ」と国王から温かな言葉をかけられていたスアレス。フランコ独裁主義国家から現在に続く立憲君主制民主主義国家へと移行を果たした現国王ファン・カルロスとの大仕事に国民は敬意を表し、今日から3日間の国喪に入ったそうです。

EL PAIS 3/24 関連記事

独裁制を敷いたフランコの死後、反体制運動が激化する中、1976年、ファン・カルロス国王が新首相に任命したのが、国民運動を組織した経験を持つアドルフォ・スアーレスAdolfo Suárezでした。

フランコ没後、政権の存続か変革かの先の見えない状況で、スアーレス首相はただちに民主化に向けた決意を表明し、反体制への接近を進めます。同時に体制内保守派への説得にも注力し、翌77年には軍部の反対を押し切り共産党を含むすべての政党を合法化します。政治改革法に基づいた第一回総選挙が実施され、労働運動の自由さえなかったスペインが開かれた民主主義国家へと舵を切るのです。

1978年には新憲法が発効され、こうしてスペインは立憲君主制民主主義国家へ移行を果たします。

改革成功の裏には、スアーレス首相の人望と悲惨な市民戦争の記憶、近年の経済成長などがあったといわれています。なかでもスアレス首相の積極的な合意形成、つまり、さまざまな考えを言葉で取り結ぶ努力が、早期の民主化を達成したといえるのかもしれませんね(出典/『スペインの歴史』昭和堂)。


『スペインの歴史』は不思議な国スペインを歴史から読み解く本。わかりやすく、目からうろこの話がいっぱい。旅をしてから読んでも、読んでから旅をしても、スペインがぐんと面白くなります。おすすめ。

関連記事