『ミツバチのささやき』を観ました

ビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』を観てきました。
絵のような風景がゆっくりとつながって行く作品に、自分の昔の嗜好や思考、思想なんかを思い返しました。

以前も話題となったアナの演技には終始釘付け。演技じゃないでしょう?というくらい自然で。6歳の主人公自身にも判らない心のひだがそっと映し出される見事なシーンが積み重なり、物語を、ひと言では語れない味わい深いものにしています。

フランコ独裁政権という難しい時代に撮られた映画というのも興味深い。美しい母親の心の燃えかすや、スペインの男女間においては怠慢と訴えられてもしかたない、研究に没頭する父親(『蝶の舌』の先生役でも怪演を果たす名優フェルナンド・フェルナン・ゴメス)、おませな姉イザベルの小さな意地悪など、主人公を取り巻き、物語に厚みを与えているサイドストーリーも、ビクトル・エリセ監督にかかっては一幅の名画のような高尚な趣を持つ。それぞれが伏線となって、少女の成長を描く叙情詩を完成させています。

客席は満席。若者たちであふれていました。スリリングなテンポでジェットコースターのように引っ張って行く映画が主流の今、意外な光景でした。

2本立てで観ようと思っていた『エル・スール』は、次回の楽しみに。『ミツバチのささやき』と『エル・スール』は4月14日まで公開中(下記のタイムスケジュール参照。公開延長もあるかもしれないので、直接問い合わせてみてください)。

それにしても、ミニシアターブームの走りだったユーロスペースが今でも健在で本当に嬉しい。桜丘町から円山町に移転してからは、ちょうど自分の暮らしも変わり、めっきり足が遠のいてしまいましたが、もっと出掛けたいものです。

■ユーロスペース

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