チェロ奏者上野通明さんの銀座シャネル演奏会

バルセロナでチェロの基礎を学んだ上野通明さんの演奏会が、5月7日土曜日に銀座シャネルでありました。演奏会は「シャネル・ピグマリオン・デイズ」と題された若きアーティストを支援する試み。才能あふれる若手演奏家を招いて、定期的に開催されている室内楽コンサートで、無料なんです。

演目は、バッハの『無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009』、休憩を挟んでハンガリーの作曲家コーダイの『無伴奏チェロ・ソナタ 作品8』。そしてアンコールに黛敏郎の『文楽』というダイナミックな組み合わせでした。

20160507上野通明_チェロ

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11月22日上野通明さんの演奏をラジオで

昨夜、銀座 十字屋ホールで開かれた「上野通明 ヴォンヴォヤージコンサート」。幸運にも出掛けられた方から「昨夜も素晴らしかった!」という一報が入りました。

もうすぐ20歳になる上野さん。10代最後のコンサートのアンコールは、パリでの同時多発テロの悲劇を追悼してか、カザルスの『鳥の歌』だったそうです。

余談となりますが、「カタルーニャの鳥は、ピース、ピースと鳴きます」というカザルスの国連での演説は有名です。テロに対する憎悪が世界中で盛り上がり、フランスは「戦争」という言葉を使い、再びシリアの空爆をはじめました。その様子に、カザルスの母の「おまえは人を殺すためにも、人から殺されるためにも生まれてきたのではない」という言葉をふと思い出します。

さて、上野さんの演奏がラジオで流れるそうです。今月22日です。お聴き逃しなく!
NHK FM 7:20-8:20pm
東京フィル 第870回オーチャード定期演奏会から –
http://www4.nhk.or.jp/bravo/

チェロ奏者カザルスの本 その3

『パブロ・カザルス 喜びと悲しみ』の全編を通して、眩しいほどの光を放っているのは、なんといっても「カザルス語録」ではないかと思います。ときにスペイン人らしいシニカルな笑いを交えたカザルスの言葉は、21世紀の現代に生きるわたしたちの心にもそのまま届きます。

スペイン市民戦争はもとより、第一次大戦をふりかえり「この戦争は民主主義をひろげていくために世界を安全にするためだと、人々は言い含められた」といった証言はいま、とても興味深く読むことができます。「人間はこんなことのために創造されたのか」と嘆くカザルスは、自分のするべきことを考えます。

世界的なチェロ奏者としてたくさんのオファーを受けるカザルスが選んだ行動は、正義と自由のために、愛する祖国からの亡命生活と、独裁国家はもとより、間接的にでもそれを支える国での公演招致は受け付けないという強固な姿勢でした。カザルスの音楽を愛し、その理想を支持するたくさんの音楽家たちは、芸術の「引きこもり」を惜しみ、「出て来ないなら、こちらが行くまで」と、カザルスが亡命生活を送るフランス・プラードで盛大な「バッハ音楽祭」(1950年)を催します。これがのちの「ブラド・カザルス音楽祭」です。

数々の名言を残したカザルスですが、ここでは、カザルスに「喜びと悲しみ」をもたらした「スペイン」や生まれ故郷である「カタルーニャ」、そして「音楽」についての賛美の言葉を少しだけ紹介しておしまいにします。

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チェロ奏者カザルスの本 その2

スペイン・カタルーニャ生まれの世界的チェロ奏者パブロ・カザルス(カタラン語では、パウ・カザルスPau Casals/ 1876年12月29日 – 1973年10月22日)の回想録『パブロ・カザルス 喜びと悲しみ』を読みました。

カザルス喜びと悲しみ表紙600

岩波ブックレットの『カザルスの心』を読んで感動し、本棚の奥に眠っていた『パブロ・カザルス 喜びと悲しみ』を引っ張り出しての読書の秋です。

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