『メキシカン・スーツケース』を観ました その3

ms_sub3(c)212 Berlin Mallerich Films©212 Berlin Mallerich Films

複雑な問題に挑戦する情熱

戦場写真で一躍世界的名声を得た写真家、ロバート・キャパ。大女優イングリット・バーグマンとも浮き名を流したことでも知られる、この「全方位的ナイスガイ」について、映画『メキシカン・スーツケース』では新たな証言も飛び出します。そのひとつが、彼は暗室作業をしなかったという証言です。前線でシャッターを押し続けるキャパに対し、パリのスタジオの暗室に隠りフィルム現像をまかされていたのは暗室助手、チーキでした。歴史的資料ともなる今回のネガの救出劇は、影の補佐役チーキの、まさに暗室工作。チーキなくしてはありえなかった快挙でした。フランコ軍が勝利し、スペインは独裁政権となり、ヨーロッパ全体にはナチスの嵐。チーキは、スペイン内戦の貴重な資料であるネガの危険を感じ、海外への持ち出しを図ったのです。

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『メキシカン・スーツケース』を観ました その2

paisaje500©212 Berlin Mallerich Films

映画がクローズアップする終結後の爪痕

映画『メキシカン・スーツケース』は、内戦の身元不明者たちの共同墓地を掘り起こすシーンがら始まります。掘り起こしているのは若者たち。行方不明者たちの遺族、孫たちの世代です。
スペイン市民戦争は50万人もの人々が命を落とし、20万人もの亡命者を出したといわれています。スペイン人にとって「内戦」はまだまだ傷のいえぬ出来事のようで、「内戦」をテーマにしたスペイン映画は今でも毎年のように製作されています。ところが一方では、意外にというべきか、やはりというべきか、国を二分した「内戦」が今日までタブー視され、沈黙が強いられてきたというスペインの(部外者にとっては)知られざる一面が、映画では明かされています。今回発見された戦場カメラマン3人のネガ同様、70年に渡る沈黙をやぶる若者たちの姿に、さまざまなことを考えさせられます。

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ロバート・キャパの未公開ネガ

伝説的戦場カメラマン、ロバート・キャパ生誕100年の今年、失われたはずの4500枚のネガとともに「スペイン市民戦争」の知られざる姿を綴る映画『メキシカン・スーツケース』が公開されるそうです。

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©212 Berlin Mallerich Films

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