『メキシカン・スーツケース』を観ました その3

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複雑な問題に挑戦する情熱

戦場写真で一躍世界的名声を得た写真家、ロバート・キャパ。大女優イングリット・バーグマンとも浮き名を流したことでも知られる、この「全方位的ナイスガイ」について、映画『メキシカン・スーツケース』では新たな証言も飛び出します。そのひとつが、彼は暗室作業をしなかったという証言です。前線でシャッターを押し続けるキャパに対し、パリのスタジオの暗室に隠りフィルム現像をまかされていたのは暗室助手、チーキでした。歴史的資料ともなる今回のネガの救出劇は、影の補佐役チーキの、まさに暗室工作。チーキなくしてはありえなかった快挙でした。フランコ軍が勝利し、スペインは独裁政権となり、ヨーロッパ全体にはナチスの嵐。チーキは、スペイン内戦の貴重な資料であるネガの危険を感じ、海外への持ち出しを図ったのです。

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